日独戦争と俘虜郵便の時代 8      03.01.15

4) 南洋群島の占領(その4)
 
 前回までに紹介したのは、”占領南洋”時代の主な郵便印として、船内局印2タイ
プ(艦舩郵便所と海軍軍用郵便所)と陸上局印2タイプ(陸上艦舩郵便所と海軍軍用
郵便所)である。
 今回は主に、陸上局の海軍軍用郵便所時代に使用された、特殊な使用例を幾つ
か紹介しよう。


図26

 図26は、フロントカバーなのが残念だが、旧大正毛紙を貼った南洋群島間郵便で
ある。日本海軍接収後の旧ドイツ商社(ヤルート・ゲゼルシャフト)のポナペ支所か
ら、ヤルート島本社社員宛のもので、臨時南洋群島防備隊の朱色の検閲印が押さ
れている。ドイツ人宛なので、防備隊独自に検閲を行ったものと思われる。この検閲
印は、主に駐留ドイツ人が祖国へ差出した郵便物に押された(敵国宛、又はそれに
準ずる宛名)と考えられる。

 
図27
 
 
図27は、ポナペ海軍軍用郵便所差出から名古屋宛の封筒だが、非常に珍しい
郵便局の朱色未納印が押されている。未納4銭と有るのは、無封書状の倍料金で
あろうか。封筒裏面には、差出として「ポナぺ海軍軍用郵便所」の紫印が押されてい
る。無料通信事務又は軍事郵便とは認めてもらえず、未納扱いとなったものだろう。

 ”占領南洋”時代の為替・貯金用印顆の印影は、確認数が少なく何れも珍しいもの
だが、櫛型の郵便印のC欄が為替貯金記号に変わっただけなので、陸上局では陸
上艦舩郵便所時代と海軍軍用郵便所時代で変化はなかった。サイパン(艦へ)・トラ
ック(艦と)・ポナペ(艦ち)・クサイ(艦り)・ヤルート(艦ぬ)・ヤップ(艦る)・パラオ(艦を)・ア
ンガウル(艦わ)である。


図28

 図28は、南洋トラック守備隊病院より軍艦金剛内病室宛の軍事郵便である。海軍
軍用郵便所時代のものだが、櫛型・為替貯金印が郵便に誤用されているユニーク
に近い使用例である。「櫛型・トラック/8.12.17./艦と」が押されている。

 
図29

 最後に記念切手貼の記念初日印を2例紹介しよう。、立太子3銭貼(図29)は、安
心丸の時代で「第四艦船/5.11.3.」が押されている。

 
図30

 平和3銭貼(図30)は、クサイ陸上局で「クサイ軍用/8.7.1.」が押されたクサイ島港風
景葉書である。


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